校友・木村さん開発の3DCG「関ヶ原合戦絵巻」が地元資料館に常設されました

KCG情報工学科を1985年3月に卒業した木村寛之さん(株式会社イビソク=岐阜県大垣市=勤務)がプロトタイプを企画・開発した3DCG「関ヶ原合戦絵巻」がこのほど,合戦の舞台となった岐阜県関ヶ原町の歴史民俗資料館に常設されました。“天下分け目の合戦”で東軍が勝利するまでの模様を3DCGでリアルに再現,戦いに臨む各武将の目線からも戦地を見られるよう工夫が凝らされることなどが注目を集め,同資料館の名物コーナーとなっています。

岐阜県立西工業高等学校(現在の岐阜総合学園高等学校)出身の木村さんはKCGでコンピュータ技術を学んだ後,地元の測量会社のイビソクに入社。当初は測量関連のソフト開発などに携わっていましたが,同社が発掘調査事業に乗り出してから,発掘現場の図面作成やCG作成を担当するようになり,現在は同社で文化財コンサルタント事業部 文化財技術開発室室長(技術担当:GIS・3Dレーザー計測・CG・IT関連)を務めています。

木村さんはもともと歴史に興味があったこともあり,岐阜経済大学の杉原健一 経営学部教授と共同で2007年度から「3次元モデルを用いた考古学研究、遺跡復元、まちづくり支援システム」の研究に着手。2009年5月には情報考古学の分野で優れた研究成果を収め発展に寄与したとして,日本情報考古学会(事務局・京都府京田辺市)より「堅田賞」を受賞しました。

3DCG「関ヶ原合戦絵巻」もこの研究の一環で企画,木村さんが名古屋市のソフト会社とともに開発したものを,地元の歴史関連イベントで紹介したところ,関ヶ原町から「ぜひ地元資料館に設置してほしい」と要請されたといいます。

開発にあたり木村さんは,合戦の舞台となった地形を忠実に再現。東軍(徳川家康側)を青,西軍(石田三成側)を赤と色分けし,各武将が陣営を敷いて戦いに挑み東軍が勝利するまでの模様を3Dで表しました。多くの文献を参考にしたという木村さんは「実際に武将の移動などを再現してみると,移動時間など文献に書かれている内容に無理があることも多々ありました。歴史的な事実解明に少しでも役立てれば」と話しています。また今後はコンピュータ技術を駆使した「ユニバーサル・ミュージアム」の実現を夢見ているといい「技術を磨いて研究を重ね、情報を生かした考古学の発展に寄与していきたい」と抱負を語っています。

関ヶ原町歴史民俗資料館に常設された3DCG「関ヶ原合戦絵巻」を企画・開発したKCG校友の木村寛之さん
関ヶ原町歴史民俗資料館に常設された3DCG「関ヶ原合戦絵巻」を企画・開発したKCG校友の木村寛之さん