“打倒ホンダ”のスローガンを掲げて,名車「500SS machⅢ(マッハスリー)」,「Z1(ゼットワン)」を開発,オートバイメーカーとしては後発の川崎重工業を一躍世界ブランド「KAWASAKI」として確立する足がかりを築いた元川崎重工業常務取締役・元日本ガスタービン学会会長で工学博士の大槻幸雄氏を迎えた特別講演会「世界一のオートバイとガスタービン開発及び開発技術者の使命」が1月21日(土),KCG京都駅前校6階ホールで開かれました。大槻氏はこれまでの経験や苦労をもとに,開発技術者としての心構えを説き,会場を埋め尽くした一般の方や学生ら大勢の聴講者に「“目標を必ず達成する”という強い意志と情熱をもって当たれば,どのように高い目標でも達成できる」と強調しました。
大槻氏はガスタービン開発においても,ゼロからスタートしたオートバイ用エンジン開発の経験を生かし20,000kW級の世界最高熱効率の純国産ガスタービン開発を成功させ,川崎重工業の新たな事業を創造したことでも知られています。
講演で大槻氏は,リーマンショックや東日本大震災,タイの大洪水,ギリシャに端を発したヨーロッパの財政危機,円高などにより,日本の現状を「未曾有の危機に陥っている」と表現。戦前の戦闘機「零戦」や超弩級戦艦「大和」の開発,戦後間もないころの急速な経済発展など,劣悪な環境にありながらも日本の開発技術者が苦労して世界トップの実績を挙げていったことを紹介したうえで「この大不況をチャンスととらえ,先輩方たちの業績を誇りに思い,自主技術による世界一の製品をどしどし開発して全世界に販売し,開発途上国へは技術輸出・支援を含めて彼らの生活向上に貢献することが,日本の今後の繁栄に寄与すると確信する」と強調。「開発技術者の使命は極めて重要だ」とも述べました。
ほかに名車「Z1」開発における苦労話や,開発技術者を目指すKCG,KCGIの学生たちの心構えや,励ましの言葉もありました。