KCG・京都すばる高校一貫教育事業で,ハイフレックス教室を使い「生成AIの実践的な活用方法」がテーマの実証授業を実施

京都府立京都すばる高等学校と三重県立亀山高等学校,KCGの3校により遠隔講義システムを使って実施された実証授業。(2024年12月24日,京都すばる高等学校)
京都府立京都すばる高等学校と三重県立亀山高等学校,KCGの3校により遠隔講義システムを使って実施された実証授業。(2024年12月24日,京都すばる高等学校)

京都コンピュータ学院(KCG)と京都府立京都すばる高等学校(京都市伏見区,貴島良介校長),三重県立亀山高等学校(三重県亀山市,廣島朗校長)の3校が2024年12月24日,KCGのグループ校京都情報大学院大学(KCGI)百万遍キャンパスに設置されているハイフレックス(Hybrid-Flexible)仕様教室の遠隔講義システムを使って「生成AIの実践的な活用」をテーマとした実証授業を実施しました。生徒・学生たちはGoogle Geminiのアプリでプロンプトに対する文章や画像が生成される状況を体験しました。

文部科学省から採択された,KCGと京都すばる高校が連携して一貫教育することによりIT人材を育成する「専門学校・高等学校連携による中核的IT専門職人材の加速型育成プログラムの開発・実証」プログラムの一環行事。これに賛同した亀山高校も参加し,最先端のIT教育環境での学びを体験しました。

授業のテーマは「生成AIの実践的な活用方法」とし,まず産業界から本プロジェクトへの協力をいただいているBIPROGY株式会社様に,「あなたはICTでどんな未来をつくりたいですか」と題し,最新ICTに活用されているAIやその動向などについて講演してもらいました。その後,生成AIの原理,何ができるのか,何に注意して利用すべきかについて講義。この中で,生成AIは何をどのように学習するのか概要を説明し,利用するに当たって便利な点と,注意する点例えば画像などで他人の著作物に似ているものを生成してしまう可能性のあることを説明しました。また,どのような文言を生成AIのプロンプトに含めるとより期待した結果に近いものが生成されるのか,実践的な利用について講義しました。
それら,基本的な知識,注意点を押さえたうえで,生徒はGoogleのGeminiを用いて,クラブ活動への参加勧誘ポスターや,そこに記載するイラストの生成など,自分たちでテーマを決め,生成AIを用いて作業をより効率化する実習を行いました。
今回の授業ではハイフレックス環境の下,実習を伴う授業においても効果的な授業ができることを,狙いとしました。生成AIに同じようなプロンプトを入力しても,前後のプロンプトで何を入力してきたかによって生成結果が異なる場合があります。生徒はお互いのパソコンの画面を共有することで,他の生徒の生成結果を見られ,特にイラストなどはその出来具合を全生徒と共有することができました。自分たちでは思うような絵が描けなくとも生成AIを用いれば面白い絵が描けることを体験し,どのようなプロンプトを入力すれば絵がどのように変化するのかなど,実際に使ってみることで生成AIをより理解していたようです。
最後に各校ごとに自分たちのテーマの成果を発表しました。この時にも,お互いの成果物を画面共有で見せ合いました。
生徒からは,「生成AIで何ができるのか,具体的に理解できた」といった感想が聞かれました。またプロンプトの入力によって結果が異なることについても理解したようです。ハイフレックス環境における実習授業において,お互いの画面が見えるので,イラストのような言葉では表現しにくいものでも効果的に内容や結果を伝えることができるので良かったとの意見が多くありました。

KCGと京都すばる高校の「専門学校・高等学校連携による中核的IT専門職人材の加速型育成プログラムの開発・実証」は,2021年10月に文部科学省の「専修学校による地域産業中核的人材養成事業」に採択されました。デジタル技術の進歩によりビジネスや産業構造が変革する中にありながら,わが国においてはIT人材,とりわけ専門知識に精通し技術部門と経営部門両面をビジネスとしてとらえることができる中核人材の不足が深刻化しています。そのような中,職業系専門学科がある高等学校と専修学校が連携し,効率化された一貫カリキュラムを開発,実施することで技術系分野の教育を加速させ,5年間でIT中核人材を育成するのが狙いです。一貫カリキュラムは京都すばる高等学校 情報科学科の2022年4月入学生から適用しています。

KCGIのハイフレックス仕様教室は,グループワークやプレゼンテーションなど,学生が主体となって参加するアクティブラーニングによる能動的な学習や,対面とオンラインを組み合わせたハイブリッド授業などさまざまな授業・講義形態に柔軟に対応できるよう設計されています。スマートディスプレイや集音マイク・スピーカーなどを装備し教育と学習のためのシームレスな環境を構築し,教室内やオンライン上など受講する場所の影響を受けず一緒に授業・講義を受けることができます。 教室内の壁は全体がホワイトボードとして利用でき,アイデアボードとしても機能します。

生徒・学生たちは,遠隔システムを利用してお互いの成果物を画面共有しながら発表しました。
生徒・学生たちは,遠隔システムを利用してお互いの成果物を画面共有しながら発表しました。