京都情報大学院大学(KCGI)の江見圭司准教授と,KCGI非常勤講師で一般社団法人 グリーンカラー・プラネットCTOの小林信三先生が,eラーニングアワード2018フォーラムで,それぞれの研究について発表しました。このフォーラムは,eラーニングを実践している教育者・研究者が一堂に会して,日進月歩で進化するICTを教育事業に応用した事例を発表する全国規模のイベントで,御茶ノ水ソラシティ カンファレンスセンター(東京都千代田区)で11月14日~16日の期間に開催されました。
江見准教授は,韓国のオンライン公開講座K-MOOCの開発および運営計画について発表しました。その中で,韓国では国がICT活用の教育を全面的にバックアップし,修了すると単位も修得できることからeラーニングが盛んで,その品質を定期的にチェック・管理するシステムも働いているなどの特徴が紹介されました。また,KCGIと学術交流提携を結んでいる韓国・済州国立大学校のeラーニング教育の概要についても紹介しました。済州大学校は韓国で初めてeラーニングを始めた大学で,教材作成用のスタジオなども完備した,この分野の先進校です。江見准教授は,日本語と韓国語との間では自動翻訳の精度が比較的高いことから,両国間のコンテンツの積極的な相互活用の可能性にも言及しました。
小林先生は,「一般社団法人 日本IMS協会主催【IMSトラック】わが国におけるデジタルバッジ・クレデンシャルの新展開において」と題した合同講演の中で,京都の東寺に宝蔵されている,密教の教えを視覚的に表現したマンダラ(曼荼羅)にヒントを得た,新たな教育手法について発表しました。マンダラは,中心の方形を八つの方形が取り囲んだ形の図像ですが,細分化された学習要素を,それらの各方形に当てはめて,全体を一つのモジュールとし,この「デジタルマンダラ」をさらに多層的に組み上げることで,新たな教材を開発しようという研究です。小林先生はこの新たな教材を,様々な分野の職人が持つ技能を可視化して,効率的に次世代に継承する教育に適用しようと考えています。この研究は緒に就いたばかりですが,仏教文化の伝統と最先端のICTを組み合わせて,先人の叡智を現代の学習に応用しようとする発想は,聴衆の関心を強く引いていました。