京都情報大学院大学(KCGI)・京都コンピュータ学院(KCG)と,ITサービス大手のBIPROGY株式会社が共同で設置している「未来環境ラボ」による「物流×生成AIワークショップ」が,物流サービス大手のトナミホールディングス株式会社様の後援で2024年11月30日(土),12月1日(日)の2日間開催され,KCGI・KCGの学生たちが,生成AIを活用した物流業界の課題への対応について考えました。
はじめに,未来環境ラボの中口孝雄KCGI教授が本ワークショップの目標とグループワークのポイントについて説明した後,トナミホールディングス社執行役員 経営企画グループ情報戦略室長の小西賢輔様より「物流事業の現状と課題について」と題して,物流業界が直面しているトラックドライバーの時間外労働規制に関する改正法施行による物流・運送業界の「2024年問題」と改善に向けて必要なこと,物流DX(デジタルトランスフォーメーション)事例についてお話ししていただきました。その後,中口教授がこれまでに未来環境ラボが行ってきたワークショップの内容にも触れながら,生成AIの概要や最新の状況,応用の多様化,生成AIを使う際の留意点などについて説明しました。
4チームに分かれたグループワークでは,学生たちは小西様はじめトナミグループの皆さまやBIPROGY社総合技術研究所主席研究員の三浦仁KCGI教授らに質問し,直接アドバイスを受けながらアイデアを出し合い,どの課題をどのような技術や仕組みで解決するかを話し合いました。
プレゼンテーションでは,全チームが成果を発表。その結果,言語の壁を越えて外国人人材に活躍してもらうための「AR技術を用いた人材教育の提案」が最優秀賞に輝きました。小西様からは,「さまざまな課題から自分たちで見いだして,結論にたどり着ける力には素晴らしいものがある。今回の提案の中には,実際に問題解決にヒントになるようなものもたくさんあった」,BIPROGY社シニア・スペシャリストの横山秀雄様からは,「自分だけでは解決できない問題を,他の人の力も借りながら,ITを使ってちょっと工夫することで社会がよくなっていく,そういった視点を今日参加された学生の皆さんに持っていただければと思います。今日の機会を次のチャンスにつなげてください」と講評をいただきました。また,未来環境ラボの中口教授と前納一希先生からも,「今回のような学科・学年をまたぎ,さらに企業の方々も密に参加するワークショップは非常に珍しく貴重な取り組み。難しいテーマにも,楽しみながら問題解決をしていってほしい」とコメントがありました。学生たちからは,「答えのない課題に取り組む過程を経験できたのは大きな学びでした」「自分の思った以上にさまざまなアイデアが浮かんで,他のチームの発表を見ていてもすごい発想だなと感心するアイデアもあり非常に楽しかったです」「普段触れることのない技術や分野に触れ,自らの力を試す場としてこれほどの場所はないと思うのでぜひまた参加したい」といった意見が寄せられました。
「未来環境ラボ」は,BIPROGY社の第一線の研究員とKCGI・KCGの教員が,新鮮な発想を持つ学生とともに,共同プロジェクトを推進していく産学共同の場です。「世の中にどんな技術があるかを知ればアイデアが湧く」,「アイデアを形にする力も訓練で向上する」と考え,物事をさまざまな観点からとらえ,現在はまだ存在しないものを自分で新たに生み出す経験を積む機会を学生に提供しています。