ブラジルインターネット運営委員会が主催し,インターネットガバナンスに関して議論を交わす会議「NETMundial+10」が,2024年4月29-30日,同国サンパウロで開かれ,京都情報大学院大学(KCGI)が設置し地理的名称トップレベルドメイン「.kyoto」を管理・運営するサイバー京都研究所(CKL)から立石聡明KCGI教授(一般社団法人日本インターネットプロバイダー協会副会長兼専務理事)と田中恵子KCGI助教が参加しました。
ブラジルインターネット運営委員会は同国のトップレベルレジストリで,ドメイン「nic.br」を管理・運営しています。インターネットガバナンスは,従来のクローズドな国際政策プロセスに対し,オープンで参加型であるという特徴があります。NETMundial+10では,政府,民間セクター,技術者コミュニティ,学術,市民社会といったさまざまなステークホルダーが参加し,意見を述べました。多様な立場の人々の意見を踏まえ,会議の最終日には成果文書「NETmundial+10 マルチステークホルダー声明」が公開されています。立石教授と田中助教はメインイベントの会議に参加後,現地の青少年と交流する機会もありました。
参加した2人は,同国・委員会がインターネットガバナンスに関する若手の人材育成に熱心なこと,また地域の教育・研究機関がさまざまな研究や情報発信に力を入れていることなどを目の当たりにしたとのことです。こうしたことを参考にCKLでも継続して,インターネットガバナンスに関わる教育活動や産学連携に取り組んでいきたいと意欲を示しています。
立石教授は,長谷川亘KCGグループ総長が代表理事・筆頭副会長に就く一般社団法人 日本IT団体連盟(IT連盟)の理事や,一般社団法人インターネットコンテンツセーフティ協会代表理事なども務めています。2023年には京都コンピュータ学院創立60周年・京都情報大学院大学創立20周年を記念して,学内にスクール・オン・インターネット・ガバナンス(SIG:School on Internet Governance)ジャパンを設置。国際会議「インターネット・ガバナンス・フォーラム2023(IGF2023)」京都開催に合わせた各種イベントを開催し,立石教授は日本の情報教育などをテーマに,数多く講演しました。
KCGIは国際的なドメイン管理団体であるICANNの承認を受け日本で唯一,教育機関としてトップレベルドメイン「.kyoto」を管理・運営しています。安心・安全なクリーンドメインの実現と「世界の京都」のブランド化を産官学のオール京都で推進することを目標に掲げ,地域や教育機関と協力しながら,公益性を追求し,有害情報や違法情報の排除の仕組みづくりを進めています。立石教授は「.kyoto」管理・運営についてさまざまなアドバイスをしています。
なかでも,国連主催のインターネット・ガバナンス・フォーラムへの貢献の一環として,本学は,インターネットガバナンスに関する知識や,マルチステークホルダーアプローチを取り上げさまざまな啓蒙・教育活動を行っています。昨年10月に開催されたKCGグループ創立60周年記念講演会では,前国連 IGF(Internet Governance Forum)事務局長で元 ICANN (Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)理事のマーカス・クマー氏や,ICANN理事(当時)のアヴリ・ドリア氏に最新のインターネットガバナンスに関する動向や,マルチステークホルダー・モデルについて講演いただきました。また昨年SIG Japanが主催したイベントに,立石教授は,ブラジル・スクール・オン・インターネットガバナンスのルイザ・メスキータ氏らと登壇し,国際的な交流を継続しています。
CKLは6月7日(金)午後2時から,オンラインによるドメインビジネス研究会を開催し,「NETMundial+10」の詳細な参加報告をすることにしています。どなたでも無料でご参加いただけます。