京都情報大学院大学(KCGI)は,2019年11月1日に創立16周年記念日を迎えました。同日,記念式典をKCGI京都駅前サテライト大ホールで開き,学生と教職員一同が祝うとともに,さらなる発展を誓いました。茨木俊秀KCGI学長は式辞で「近年は,アジアをはじめ世界中から入学者を受け入れており,グローバルな大学院としての地位を築きつつあります。一方,地域に密着したIT教育を展開するため,札幌サテライトと東京サテライトを開設しています。国内はもとより海外にも教育展開を図るべく,準備を進めているところです」と,KCGIの現状を話しました。
続いて土持ゲーリー法一副学長・教授が「学び方を学ぶ 京都情報大学院大学での新たな挑戦」と題して記念講演を行いました。土持教授は,米国のカリフォルニア州立大学で学部および修士課程修了後,コロンビア大学教育大学院の修士課程および博士課程を修了しました。東京大学の教育学博士でもあります。弘前大学や帝京大学の教授,カナダ・ビクトリア大学,米国・南フロリダ大学,名古屋大学の客員教授などを務めてきました。教育学の権威であり,昨年度KCGIに来てからは,新しい教育法を本学に根付かせるべく,精力的に活動しています。
土持教授は講演で,「アインシュタインは『私は生徒に教えることはしない。学べる環境を生徒に与えるだけだ』と述べています。私の教育哲学も同じで,KCGIの学生と一緒に授業を『創る』環境を整えることが大切だと考えています。教員も学生と同じように学び成長するものだと信じています」と語りかけました。土持教授は,教員が教壇に立って教える授業から,学生がグループで話し合って学習を進めるように変わった「学習パラダイム」への転換がアメリカで起きたことを紹介し,「『学び方を学ぶ』は,自分がどのような学習者であるかを知ることから始まります。学び方や見方は,人によって違うことを知る必要があります。それが自律的学習者を育てることにつながります」と説明。そして「『学び方を学ぶ』は大学の成績評価には直接つながらないかもしれませんが,社会や人生の成績評価につながることは間違いありません」との見方を示しました。
KCGIは,1963年5月1日に創立した日本最初のコンピュータ教育機関であるKCGのパイオニア・スピリットを受け継ぎ,日本最初のIT専門職大学院として開学しました。応用情報技術研究科 ウェブビジネス技術専攻を置き,修了するとIT応用分野の最高学位である情報技術修士(専門職)が得られます。学問分野では,2018年度よりカリキュラムを大幅に改編。2019年度はコンセントレーション履修モデルとして▽ERP ▽ビジネスデータアナリティクス ▽ITアントレプレナーシップ ▽ウェブシステム開発 ▽ネットワーク管理 ▽ITマンガ・アニメ ▽観光IT -を,産業分野履修モデルとして ▽農業 ▽海洋 ▽医療・健康 ▽コンテンツマーケティング ▽教育▽フィンテック-を設置し,学生が目的・志向に応じて各モデルを選択し組み合わせることで,効率良く段階的に学べるようになりました。入学定員は,開学当初の80名(総定員160名)から,2019年度には480名(同840名)に増員しています。ITと経営,それにコンテンツに関する知識と技術を持った優秀な人材を,国内やアジアをはじめとする世界のIT業界に送り出してきました。