「失敗こそ価値」。創立50周年記念講演会でインテル・阿部氏が強調

「KCGでさまざまなことに挑戦し,将来はマーケットで力を発揮してください」と呼び掛けるインテルの阿部氏
「KCGでさまざまなことに挑戦し,将来はマーケットで力を発揮してください」と呼び掛けるインテルの阿部氏

KCGグループの創立50周年記念講演会「イノベーションは止まらない」は1月25日,京都コンピュータ学院京都駅前校大ホールで,インテル株式会社取締役 兼 副社長 執行役員,技術開発・製造技術本部本部長の阿部 剛士氏を講師に招き,開かれました。阿部氏はインテル社が取り組んできた開発の歩みやトランジスタの進化などについて説明したうえで,聴講した学生やオープンキャンパスの参加者たちに向け「失敗を恐れ,やるべきことをやめてしまうことが最も罪なこと。米国では失敗の経験がない人は信じてもらえないし,失敗こそが価値であるとも言われています。KCGでさまざまなことに挑戦し,将来はマーケットで力を発揮してください」と呼び掛けました。

講演会には一般からも多くの方が聴講に訪れました。また,本学の双方向授業配信システムにより,京都情報大学院大学の札幌サテライトおよび東京サテライトでも講演の模様が流されました。

トランジスタの進化について阿部氏は「2年で集積度が2倍,大きさが2分の1になるというムーアの法則が愚直に守られています。今では原子の大きさのレベルにまでなり,価格も半減。一方で集積度は着実に倍増しています」と説明しました。現在24億人がいるとされるインターネット人口が,東京五輪が開催される2020年には40億人と,世界の人口の半数を超え,パソコンや携帯などデバイスの数は,今の40億台から300億台超になると予想,これらユビキタス社会の拡大を受けてのビッグデータの活用例を挙げながら「次の10年の変化は過去の100年の変化に相当するのではないかといわれるほど,想像以上に世界は,そしてイノベーションは高速に変化しています」と話しました。

イノベーションについては「技術革新と訳されることが多いですが,少し違う。私は“発明と市場の融合”という意味で解釈しています。新しいものが生み出されなくても,既存のものの組み合わせを変えるだけでイノベーションは起こります」としたうえで「近年,イノベーターは企業ではなく,エンドユーザーに様変わりしています。みなさんもトライする時代です」と強調しました。

21世紀のグローバル人材に求められる要素は▽ ICT活用力▽ コミュニケーション力▽ 協働力▽ リーダーシップ▽ 問題解決力▽ 創造力-の6つであると,デビット・ソーンバーグ(フューチャリスト)の言葉を引用。その中で,コミュニケーション力の中の「伝える力」とリーダーシップを取り上げ「相手がどのように考えているかを観察していれば,伝える力は大きく高まります。また,リーダーシップは先天的なものではなく開発できるもの。KCGで技術や知識を高めるとともに,これらのことも身につけてください」と述べました。

講演の冒頭,阿部氏は「50年前の時代に先見性を持ち,コンピュータの教育機関を日本で初めてつくられたのは素晴らしいこと。4万人以上の卒業生が日本のIT業界で活躍されていると聞きます。今後も大勢の情報処理技術者を社会に送り出していっていただきたい」とKCGグループにメッセージを送っていただきました。

「KCGでさまざまなことに挑戦し,将来はマーケットで力を発揮してください」と呼び掛けるインテルの阿部氏

創立50周年記念講演会「イノベーションは止まらない」
http://kcg.edu/50th/events/イノベーションは止まらない阿部剛士氏講演/