6月22日(土)に,KCGグループ創立50周年記念講演会の第七弾となる,ロボットクリエイターの高橋智隆氏(株式会社ロボ・ガレージ代表取締役,東京大学先端科学技術研究センター特任准教授)による「ロボット時代の創造」を京都コンピュータ学院京都駅前校大ホールで開催しました。高橋氏は自らが開発したロボット「EVOLTA(エボルタ)」と「ROBI(ロビ)」を持ち込んでデモンストレーションを披露,年内にロボットが宇宙飛行をする計画があることを紹介するなど,ロボットに対する情熱と未来に向けた可能性を語り,一般の方を含めた大勢の聴衆を魅了しました。
高橋氏は,ロボット科学者を目指すきっかけとして「小学生のころ,漫画・鉄腕アトムを読んで,ロボットを作るシーンが数多く出てくることに刺激されました」と説明。その後しばらくは他の趣味に没頭するあまり,ロボットについて考えることは少なくなったそうですが,立命館大学産業社会学部を卒業後に就職活動をしている中で子どものころの夢を思い起こし,京都大学工学部に入学。在学中に開発したロボットが,ベンチャーコンテストやアイデアコンテストで次々と入賞し,メーカーに持ち込んで製品化されるなどしたため,卒業後に京都大学入居ベンチャー第1号としてロボ・ガレージ社を起業しました。
その後開発したロボットは30あまりを数えます。その中で,電機メーカーの乾電池の耐用度をPRするためのCMに採用された17センチの「EVOLTA」は,グランドキャニオンの崖を,ロープを伝って約530メートル登り切ることに成功。ほかにもル・マン24時間達成や東海道五十三次の53日間での踏破,ハワイのトライアスロン(水泳3.8km,自転車180 km,マラソン42 km)完走などを果たしました。講演では「EVOLTA」とロープを持ち込み,グランドキャニオンを登る姿を再現しました。また,ヒューマノイドロボット「ROBI」(34cm)のデモンストレーションでは,会話ができることや歌ったり踊ったりする様子を披露しました。
年内には,ヒト型のロボットとしては世界で初めてとなる宇宙飛行の計画があることを紹介。「すでに14項目に及ぶ安全試験をクリアし,年内にも宇宙に飛び立ち,若田光一 宇宙飛行士の実験アシスタント役,コミュニケーション役として活躍してもらいます。ロボットは今や,人とコミュニケーションができるものであるということを世界に発信したい」と強調しました。さらには「近い将来,スマートフォンに代わり,1人1台ロボットを持つ時代が来ることを確信しています。それはモノづくりの力が圧倒的に強い日本から始まるでしょう。ロボットは無限の可能性を秘めています」と締めくくりました。
高橋氏は,自作ロボット「CHROINO(クロイノ)」が米タイム誌の「最もクールな発明」に選ばれるなど「ロボットの天才」と呼ばれ,世界で注目を浴びています。サッカーの試合でロボットの技術力を競うロボカップ世界大会では,2004~2008年に5連覇を果たしました。「2050年ごろには,サッカーW杯の優勝チームに,ロボットチームが勝ってしまいたい」と話しています。
記念講演会「ロボット時代の創造」
http://kcg.edu/50th/events/ロボットクリエイター高橋智隆氏講演/