確率分布
学習内容
2項分布,ポアッソン分布,正規分布などの確率分布の性質とグラフを理解する。
上記確率分布に基づく確率を計算する。
ある確率分布に対する確率変数を求める。
Excel の関数
BINOMDIST・・・2項分布に従う場合の確率を求める。
POISSON・・・ポアッソン分布に従う場合の確率を求める。
NORMDIST・・・正規分布に従う場合の確率を求める。
NORMINV・・・正規分布の場合の確率を与える確率変数を求める。
例題1 2割打者が10回打席に入って
1)3回ヒットを打つ確率を求めよ。
2)5回以上ヒットを打つ確率を求めよ。
3)少なくとも1回ヒットを打つ確率を求めよ。
4)この打者がヒットを打つ回数の期待値を求めよ。四死球は考えないとする。
[解法]
各回の成績は独立とするとr回ヒットを打つ確率は2項分布に従う。
P(r)=nCrpr(1−p)10−r
においてn=10,p=0.2として各列の値を計算して積をとると
ただし最後から2番目の列は直接2項分布関数(BINOMDIST)より求めた。これより
1)求める確率はP(3)=0.20である。
2)P(5)よりP(10)までを加えて 0.033である。
3)ヒットを全く打たない確率は 0.1073742 だから,少なくとも1回ヒットを打つ確率は
1−P(0)=1 − 0.1073742 =0.89 である。
4)期待値はrP(r)の合計で2である。
二項分布の表作成
例題2
5%の不良品を含む製品10個のうち2個以上の不良品が現れる確率を求めよ。
[解法]
m=np=10×0.05=0.5のポアッソン分布に従う。
P(r)=e−mpr/r!を計算すると
ただし最後の列は直接ポアッソン分布関数(POISSON)より求めた。P(2)よりP(10)までを加えて 0.090,すなわち9%の確率である。
例題3
1000人の受験生の成績は平均45.2点,標準偏差18,2点の正規分布であった。
1)合格点が55点であるとき合格者数を求めよ。
2)45点以上の不合格者は何人いるか
[解法]
m=45.2,σ=18.2を
f(x)=exp[−(x−m)2/(2σ2)]/(σ√2π)
に代入し確率密度を計算する。ただしz=(x−m)/σ
正規分布の表作成
最後から2番目の列は NORMDIST 関数より関数形式 False として計算した確率密度,また最後の列はNORMDIST 関数より関数形式 True
として計算した確率値である。
P(x<55)=0.704871であるから,P(x>55)=1−0.704871=0.295129である。これは1000人中の295人に当たる。
2)P(x<45)=0.495616であるから,P(45<x<55)=0.704871−0.495616= 0.209255
であり,これは1000人中の209人に当たる。
例題4
前問で10位以内に入るには何点以上取らねばならないか。50位の場合は何点か。
[解法]
10位とは上位1%であるからP(x<x0)=0.99 となるようなx0を求めればよい。上表の値から補間すると85<x0<90であることは解るが,詳しい値を求めるには NORMINV関数を使って87.53942309が求まるが,それより大きい整数だから88点。同様に50位の場合は5%だからP(x<x0)=0.95
となるようなx0が求まり76点が必要である。
問題1 サイコロを10回振って1の目がx回出る確率を表とグラフで表せ。
問題2 前問で1の目が1回出たら1点,2回出たら2点,というように点数を付けると,何点取れると期待されるか。
問題3 コインを10回放り上げて表がx回出る確率を表とグラフで表せ。また50回行なった場合は10回の場合と比べてグラフはどのように変化するか。
問題4 ○×問題10題をデタラメに答えて合格する確率を求めよ。合格点は60点である。3択,4択の場合,また20題,30題の場合ではどうか。 参照
問題5 5000人の集団の身長の平均が171.3cm,標準偏差が12.5cmであるとき次のものを求めよ。
1)身長180cm以上である確率
2)身長160cm〜170cmである確率
3)トップテンに入るための身長
問題6 試験を受けた2人の結果は,点数は48と52で,偏差値は45と49であった。これより平均値,標準偏差,成績分布を求めよ。 参照
問題7 2項分布を表すグラフを描け。
問題8 ポアッソン分布を表すグラフを描け。
問題9 正規分布を表すグラフを描け。
問題10 2項分布やポアッソン分布でnが大きくなるにつれて正規分布に近づくことをグラフで表せ。