はじめに
いうまでもなく惑星運動論の研究は近代科学の始まりであり,万有引力による2体問題の代表例として初等力学の教科書で扱われている。その運動方程式は3元連立2階微分方程式で表され,6個の積分定数が必要である。その軌道は楕円であり,Keplerの3法則に従って書き直すと任意の時刻における惑星の位置(x,y,z)は次式で表される。
E=e sinE+M M(平均近点離角:日付を与えれば定まる数)
という形をした非線型方程式で,数値的にしか解けないが,離心率eは0以上1未満の数でほとんどの惑星では0.1以下であるから,E=Mを初期値として数回のiterationで収束する。
X=a・sinE
Y=√(1-e2)a・cosE
6個の定数は軌道要素といわれるが正確には,万有引力は太陽以外に他惑星からの寄与が無視できないので,2体問題ではなくなり,軌道要素も「定数」ではない。長期間の運動を調べるにはその時間変化をも考慮しなければならないので[3]に載っている式を使った。
以上のことを考慮して,視覚的に惑星運動を表示するWindows98上のVisualBasic6.0によるプログラムを作った[10]。他の詳しい天文計算と比較してみて,位置精度はBC5000からAD5000間で,数度以下に収まっていると思われる。このソフトを用いてBC3000からAD3000までの間,水星・金星・火星・木星・土星が天空上である角度以内に収まる日を検出した。