Keplerの方程式


 1858年11月17日UT午前0時(JST午前9時)からの通日をMJD(修正ユリウス日)という。グレゴリウス暦の日本標準時 YY年 MM月 DD日 HH時 NN分は次式でMJDに変換される。 ただし[  ]の記号は切捨て整数化を表し,1月と2月は前年の13月,14月とする。

     MJD = [365.25YY] + [YY/400] - [YY/100] + [30.59(MM−2)] + DD 
     + ( HH − 9 )/24 + NN/1440 − 678912               (1)
 太陽系の天体は一部の彗星を除き楕円軌道を描いており,どんな楕円上をどんな速度で運動するかはケプラーの3つの法則に従う。
 1)惑星は太陽を一つの焦点とする楕円軌道を描く。
 2)太陽と惑星を結ぶ線分と楕円の長軸とでできる扇形の面積速度は一定である。
 3)どんな惑星でも公転周期の2乗と軌道長半径の3乗の比は一定である。
 楕円とは円をある一方向だけに圧縮したもので,図の半径aの円をy方向にb/a倍すると長半径a,短半径bの楕円が得られる。楕円の形は軌道長半径a離心率eとで特徴付けられる。 aの単位は天文単位(AU・・・Astronomical Unit)を用い,1AUとは地球の軌道長半径(=1.496 × 10km)にあたる。また離心率 とはe=√(a−b)/aと定義される0以上1未満の数で, 0のとき円を,1に近くなればなるほど扁平な楕円を表す。水星と冥王星以外はe<0.1で,ほぼ円軌道を描いている。一方ハレー彗星など周期彗星ではeは1に非常に近い。すなわちaは楕円のサイズを,eは楕円の扁平度を表すパラメータである。 楕円の中心を原点,長軸をx軸,短軸をy軸とする座標系をとると焦点は(±ae,0)であり,第1法則より太陽は一つの焦点S(ae,0)に,惑星は楕円上P(X,Y)に位置している。原点を中心とし半径aの円を描き,P'を図のように定め∠P'OX=を導入しこれを離心近点角という。

 
    X = a cos E            (2)  
    Y = a√(1-e) sin E     (3) 
太陽・惑星間距離は  
  r=√((X−ae)+Y) =a(1-e cos E)
rの最大値,最小値は次のように与えられるのは明かである。  
   最小値 a(1−e)   E=0゜   PがAに一致するとき   
   最大値 a(1+e)   E=180゜ PがA'に一致するとき 
Aが近日点,A'が遠日点と呼ばれるわけは自明であろう。aはrの最大値と最小値の平均となるので平均距離とも言われる。 第2法則の表現は解りつらいが,惑星が楕円上をどのように運動し,いつどこにいるかを記したもので,これよりケプラーの方程式が導かれる。  
   E− e sin E = M             (4) 
この方程式はMを与えてEを求めるものである。Mは平均近点離角と言われ近日点通過時からの経過日数に比例し,近日点通過時に0゜,遠日点通過時に180゜となる。MJD=MJD(基準日)の時のMの値をM とすると  
     M = n( MJD − MJD ) + M      (5) 
また定数nは平均日々運動といわれ,惑星が1日当たり公転運動する角度で平均角速度に当たる。   
    n = 360/(365.24219 p) 
pは公転周期であるが,第3法則によってp(年)とa(AU)は,
    a=p 
という関係があるから 
     n = 0.985647365 a−3/2                 (6)
  軌道長半径,離心率,基準日MJDとその平均近点離角 を与えると,任意の日付(YY,MM,DD,HH,NN)におけるMが(5),(6)より計算でき,ケプラーの方程式(4)を数値的に解いて,求めたEを(2),(3)に代入すればX,Yが求まり,すなわち任意の時刻の惑星の位置が得られる。
軌道図例   地球の軌道  VBS
9惑星と主な小惑星・彗星の軌道要素は毎年の理科年表に載っている。